TBR-X v1.0 稼働初日 — 4軸クロスリスク指数の中身と読み方
本日2026年5月13日、TriBeatは独自リスク指数 TBR-X(TriBeat Risk Index)v1.0 の運用を正式に開始した。AI/Gold/BTC/Power の4つの中期トレンドが「同時にどれだけ壊れかかっているか」を 0〜100 の1スコアで毎営業日測る、TriBeat独自IPの最初の本稼働だ。本日の終値ベースは 24.6(NORMAL)。前日仮値38.4からの大幅低下に見えるが、これはロジック確定に伴う再計算の影響であり、相場急変ではない。本記事ではその中身を完全公開する。
なぜTriBeatは独自指数を作るのか
個別資産のリスクには既に多くの指標がある。米国株のVIX、金のGVZ、暗号資産のDVOL。だが、TriBeatが日々追跡する「AI半導体 × 物理ボトルネック × 通貨ヘッジ × 暗号資産」という4軸のクロスリスクを1つの数字で測る指数は、世の中に存在しなかった。投資家が分散したつもりが、ある瞬間「全部一緒に下がっている」と気付くケースは少なくない。TriBeat 100ペーパー運用も「Top-1全力」という設計上、4軸が同時に壊れるイベントには弱い。その「同時下落の地震計」が必要だった。それがTBR-Xだ。
4つの構成要素 — 何を測っているか
TBR-X は4つの独立した成分を 0〜100 に正規化し、重み付き合成する。主要 1 + 二次 3の構成だ。
- SyncDown(同時下落度・40%):4軸の過去63日リターンのうち「負の部分」だけを平均。3軸でも4軸でも、同時に深く沈んでいるほど高得点。本指数の核。
- Volatility(ボラティリティ・20%):4軸の直近13週リターンの標準偏差の平均。市場が荒れているほど高得点。VIX的役割。
- Correlation(軸間相関・20%):4軸のペアワイズ相関の30日平均。分散効果が消える状態を捉える。リーマン級では1.0に張り付く。
- Drawdown(ドローダウン・20%):各軸の直近1年高値からの累計下落率の平均。「どれか1軸が大幅DD中」を見逃さない補助項。
「同時下落」を直接測るのが SyncDown、「土壌が荒れているか」を Volatility、「分散できていないか」を Correlation、「どこかが既に折れていないか」を Drawdown が補う。役割分担は徹底的に直交させている。
算出式(完全公開)
+ 0.20 × Volatility
+ 0.20 × Correlation
+ 0.20 × Drawdown
+ 10 // baseline
clip to [0, 100]
SyncDown だけ重みが2倍なのは、これが指数のアイデンティティだからだ。残り3つは「補助的な歪み補正」として等加重で乗せている。baseline +10 は、ゼロから少し上に視覚的な「常時微弱なリスク」を置くための定数だ。完全な平和は存在しない、というTriBeat編集部の世界観の表現でもある。
4段階の解釈基準
VIXの「20未満/20–30/30–40/40以上」と似た4段階構造を採用した。読者が他の市場指標と頭の中で比較しやすくするためだ。75を境にTriBeat 100ペーパー運用が動くのがTBR-Xの実務的意味。閾値75は単なる装飾ではなく、明示的なトリガーとして埋め込まれている。
本日の数値 — 24.6 の中身
2026-05-13 終値ベース、TBR-X は 24.6(NORMAL)。Day 2(昨日)の運用記録ではAI +20.19%、BTC +17.53%、Power +41.44%と3軸が中期で大きくプラス、Gold だけが −6.37%と軟調。「同時下落」というTBR-Xの主目的に対して、いまの相場は対極にある。SyncDownが極めて低く、結果としてTBR-Xも低い。
本日のTBR-X 4成分
| 成分 | 重み | スコア(0-100) | 寄与 |
|---|---|---|---|
| SyncDown | 40% | 3.2 | +1.3 |
| Volatility | 20% | 5.8 | +1.2 |
| Correlation | 20% | 48.0 | +9.6 |
| Drawdown | 20% | 13.0 | +2.6 |
| Baseline | — | — | +10.0 |
| TBR-X 合計 | — | — | 24.6 (NORMAL) |
注目したいのは Correlation 48 の高さだ。SyncDownが3.2と平和な水準にあるなか、軸間相関は中程度に高い。「同じ方向に動いていないわけではないが、各軸の絶対値が小さいから問題が見えていない」状態である。もし市場全体が下を向き始めたら、相関が高いまま4軸まとめて沈むリスクが既に潜在化している。SyncDownが急騰し始めたタイミングこそ要警戒。
シナリオ感度 — 4水準でどう動くか
v1.0 算出ロジックを4つの仮想シナリオに通した結果が次の通り。
シナリオ別 TBR-X v1.0 試算
| シナリオ | SyncDown | Vol | Corr | DD | TBR-X | レベル |
|---|---|---|---|---|---|---|
| Day 2 強気相場再現 | 3.0 | 0.0 | 48.0 | 13.0 | 23.4 | NORMAL |
| 軽い同時下落 | 10.0 | 0.0 | 65.0 | 20.5 | 31.1 | ELEVATED |
| HIGH警戒域 | 23.5 | 0.0 | 85.0 | 39.0 | 44.2 | ELEVATED |
| リーマン級ストレス | 57.5 | 0.0 | 100.0 | 57.5 | 64.5 | HIGH |
上記試算ではVolが0で固定(試算用スタブのため)であり、実データを通したらPANIC(75超)への到達が現実的になる。SyncDownが60を超えるような相場では、それだけで TBR-X = 0.4×60 + 10 = 34pt の貢献が確定する。リーマン級のような「全軸-40%超」が現実になれば、SyncDownは100に張り付き、Correlationも100に張り付き、Drawdownも50超で寄与する。試算上、最大値はおよそ 90台前半を見込んでいる。100の頂点は到達不能水準として残し、「最後の壁」を物理的に維持する設計だ。
TriBeat 100 ペーパー運用との連動
TBR-Xは観測指標であると同時に、TriBeat 100 ペーパー運用の明示的なトリガーでもある。損切ルールは2系統:
- 損切①:累計損益が −15% 以下 → 翌寄付でGold軸へ全額避難
- 損切②:TBR-X > 75(PANIC域)かつ保有Top-1軸の63日リターンが負転落 → 翌寄付でGold軸へ全額避難
Gold避難後は TBR-Xが50を下回るまで継続し、解除後に通常の63日リターン判定へ復帰する。「指数だけ高いがTop-1がまだ持ち堪えている」「Top-1は下げているが指数全体は平和」のどちらかであれば、損切②は発動しない。指数の単独乱高下で過剰反応しない、二重トリガー設計だ。
v1.0 の限界と、次の改定計画
透明性のために限界も書く。v1.0には次の課題が残る:
- 為替の独立成分が未組込み。USD/JPY の急変は4軸の円換算リターンを通じて間接的にしか反映されない。v1.1 で為替ボラを5番目の二次成分として追加する候補がある。
- イベント・コアCPI・FOMC等のスケジュール情報を未反映。指数発表前の「待ち警戒」をTBR-Xでは捉えられない。v1.2 で「イベント加重」を導入予定。
- BTCの週末価格と他3軸の営業日価格にタイミングのズレがある。週末ギャップは月曜のTBR-X計算で吸収しているが、改善余地あり。
これらは改定履歴ページで公開しながら、四半期ごとに見直す。算出方法の変更は必ずバージョン番号を上げて、過去スコアとの不連続性を明示する。読者が再現可能性を検証できる状態を維持し続ける、というのがTriBeatの編集方針だ。
編集後記 — 指数を作るということ
指数を作ることは、自分たちが何を見ているかを言語化することそのものだ。「同時下落リスク」と一言で言うときに、それが本当に何を意味しているのか、4成分を定義し、重みを決め、閾値を引く作業を通じて、編集部の世界観がスコアに転写されていく。TBR-X v1.0 は、TriBeatが世の中に対して「我々はこの4つを大事だと考えています」と表明する第一弾の旗だ。次は記事で読まれるだけでなく、毎朝の動画コーナー、ダッシュボード、そしてTriBeat 100の規律として、TBR-Xは日々の運用に組み込まれていく。明日からのTriBeat Dailyで、4成分の小さな数字の動きにもぜひ注目してほしい。